産業医・衛生管理者等の選任義務


〜労働者の健康確保のために〜


 労働者の健康を確保し快適な職場づくりをすすめるために、下に示すように事業場の規模に応じて、産業医・衛生管理者等を選任し、これらのスタッフに労働衛生対策を進めるために必要十分な権限を与え、管理体制を整備しなくてはなりません。
 
※事業場とは?
企業全体ではなく、支店・営業所等、物理的・組織的にひとまとまりのところをいいます


労働者を常時50人以上使用している事業場
 ○産業医の選任(安衛法第13条・安衛則第13条)
 ○衛生管理者の選任(安衛法第12条・安衛則第7条)
 ○産業医、衛生管理者の選任報告の届出(安衛法第100条)
 ○衛生委員会の開催(安衛法第18条)

労働者を常時10人以上50人未満使用している事業場
 ○衛生推進者の選任(安衛法第12条の2)
 ○衛生推進者の氏名の周知(安衛則第12条の4)




雇入れ時健康診断

(労働安全衛生法第66条、労働安全衛生規則第43条)
常時使用する労働者を雇入れる際、健康診断を実施しなければなりません。

項目
 (1)既往歴及び業務歴の調査
 (2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 (3)身長、体重、視力、聴力の検査
   「色覚検査」は平成13年10月1日から廃止されました。

 (4)胸部エックス線検査
 (5)血圧の測定
 (6)尿中の糖及び蛋白の有無の検査
 (7)貧血検査
 (8)肝機能検査
  (GOT,GPT,γ-GTP)
 (9)血中脂質検査
  (血清総コレステロール、HDL-コレステロール、血清トリグリセライド)
 (10)血糖検査
 (11)心電図検査
 原則として検査項目の省略は認められないが、医師による健康診断を受けてから3ヵ月以内の者が、その結果を証明する書類を提出した場合には、その項目は省略できる。




定期健康診断

(労働安全衛生法第66条、労働安全衛生規則第44・45条)
常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回(ただし、深夜業労働者等は6ヶ月ごとに1回)、定期に健康診断を実施しなければなりません。

項目
 (1)既往歴及び業務歴の調査
 (2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 (3)身長、体重、視力及び聴力の検査
 (4)胸部エックス線検査及び喀痰検査
 (5)血圧の測定
 (6)尿中の糖及び蛋白の有無の検査
 (7)貧血検査
 (8)肝機能検査
  (GOT,GPT,γ-GTP)
 (9)血中脂質検査
  (血清総コレステロール、HDL-コレステロール、血清トリグリセライド)
 (10)血糖検査
 (11)心電図検査

医師が必要でないと認めるときに省略できる項目
 身長検査(20歳以上の者)
 聴力検査(45歳未満(35歳・40歳を除く)で他の方法でも可)
 喀痰検査(胸部エックス線検査により発病等の発見されない者)
 尿検査(血糖検査で異常の無い者)
 貧血検査(40歳未満の者(35歳を除く))
 肝機能検査(40歳未満の者(35歳を除く))
 血中脂質検査(40歳未満の者(35歳を除く))
 心電図検査(40歳未満の者(35歳を除く))
 血糖検査(40歳未満の者(35歳を除く))

事業者は、健康診断を受けた労働者に対し、その結果を通知しなければなりません。
所見があると診断された労働者については、健康を保持するための必要な措置について、3ヵ月以内に医師又は、歯科医師(産業医の選任義務がある事業場は産業医)の意見を聞き、その内容を健康診断個人票に記載しなければなりません。



 
労働災害が起きたら

労働災害が起きたら
負傷等
4日未満の休業(不休を除く) 4半期に一度報告
労働者死傷病報告(安衛則様式第24号)にて所轄労働基準監督署へ
4日以上の休業 労働者死傷病報告(安衛則様式第23号)にて所轄労働基準監督署へ遅滞なく報告
 
死亡 労働者死傷病報告(安衛則様式第23号)にて所轄労働基準監督署へ遅滞なく報告
主な報告用紙一覧
  報告用紙 注意事項
衛生管理者 安衛則様式第3号 衛生管理者免許の写しを添付
産業医 医師免許の写し及び産業医資格を証明するものの写しを添付
総括安全衛生管理者  
安全管理者  
定期健康診断 安衛則様式第6号  
労働者
死傷病報告
4日以上休業 安衛則様式第23号  
4日未満休業 安衛則様式第24号 4半期に一度報告

※正副準備してください。
※用紙は法令様式販売店で購入できます。

 


安全衛生関係(業種・規模等により選任スタッフ・人数が異なる。)

衛生管理者(労働安全衛生法第12条)
衛生に関する技術的(具体的)事項の管理等を行う。又、業種により必要な免許が異なる。

産業医(労働安全衛生法第13条)
事業者に選任され、産業医としての資格を有する医師で、専門家として労働者の健康管理等を行う。

衛生委員会(労働安全衛生法第18条)
労働者の健康障害の防止のため調査審議する。毎月1回実施しなければならない。

衛生推進者(労働安全衛生法第12条の2)
衛生業務について権限と責任を有する者の指揮を受けて労働衛生業務を担当する。
(労働者10人以上50人未満の事業場)