採用編


Q1:労働者を雇い入れる場合、労働条件は口頭で十分説明すれば、特に書面を交付しなくても構いませんか?

A1
1.労働契約の期間、
2.就業の場所・従事する業務の内容、
3.始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、
  交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項、
4.賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項、
5.退職に関する事項(解雇の事由を含む)

上記については、
「書面」の交付が必要です。(労働基準法第15条)


Q2:労働契約の期間を2年間として問題ありませんか。

A2:従来、労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、1年を超える期間については締結できませんでしたが、法律改正により、平成16年1月1日から、契約期間を「3年以内」とする労働契約の締結が可能となりました。

また、専門的な知識、技術又は経験(専門的知識等)であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当するものを有する労働者がそのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合や満60歳以上の労働者との間で締結する労働契約については、契約期間を「5年以内」とすることができるようになりました。(労働基準法14条)


Q3:労働者を雇い入れるときに、「3年以内に退職した場合は、会社に対し違約金50万円を支払うこと」を内容とする労働契約を結んでもいいですか?

A3:労働契約の締結に関し、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定することは禁止されています。(労働基準法第16条)

Q4:新聞・雑誌の求人広告に表示してあった日給額を見て入社したところ、実際には広告の日給額より少ない金額で計算されていました。差額を会社に請求することは可能でしょうか?

A4:求人広告は、あくまでも募集のために行われるものであり、広告の中身がそのまま労働契約の内容になるものではありません。

実際の判例でも、「求人広告に記載された基本給額は見込額であり、最低額の支給を保障したわけではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての金額である。」としており、求人広告記載の労働条件と、労使で合意した労働契約の内容が異なる場合に、労働契約の内容が優先されるとしています。

但し、使用者は、雇い入れ時に、賃金や労働時間等の労働条件について、書面を交付する方法で労働者に明示しなければならず、その明示された労働条件が、事実と異なる場合は、労働者は即時に労働契約を解除できる旨、労働基準法に定められています。また、判例等では、定められた労働条件は、正当な理由がなければ、労働者にとって不利益に変更することはできないこととされています。