20 事業場外労働のみなし労働時間制

(法第38条の2)

<事業場外労働のみなし労働時間制とは>



1. 労働者が事業場外で労働し、労働時間の算定が困難な場合には、所定労働時間労働したものとみなされます。
2. その業務を行うためには、通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」または労使協定で定めた時間労働したものとみなされます。

みなし労働時間制の対象外となるケース

1. 従事者の中に労働時間を管理するものがいる場合
2. 事業場外で業務に従事する者が、携帯電話等によっていつでも連絡がとれる状態にあり、随時使用者の指示を受けながら労働している場合
,3. 業務の具体的指示を受けており、帰社する場合




21 裁量労働制

(法第38条の3、第38条の4)

裁量労働制とは、業務の性質上その遂行の手段や時間の配分などに関して使用者が具体的な指示をせず、実際の労働時間数とは係りなく、労使の合意で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

裁量労働制には、次の2種類があります。

1 専門業務型裁量労働制
デザイナー、システムエンジニアなど専門的な19の業務に就く者が対象。
2 企画業務型裁量労働制
事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象。


専門業務型裁量労働制を導入する場合には、労使協定により、使用者が次の措置を講ずることを定めなければならないことになりました。

(1)対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康・福祉を確保するための措置
(2)苦情の処理に関する措置

専門業務型裁量労働制を導入する際に労使協定で定める事項

(1)対象業務の範囲
(2)対象労働者の範囲
(3)
1日のみなし労働時間数
(4)業務の遂行方法、時間配分などについて、従事する労働者に具体的な指示をしないこと
(5)労使協定の有効期間(3年以内が望ましい。)
(6)対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
(7)苦情処理に関する措置
(8)(6)および(7)の措置に関する労働者ごとの記録を有効期間中および当該有効期間後3年間保存すること

企画業務型裁量労働制の要件

(1)導入できる事業場
(2)の対象業務が存在する事業場
(従来の本社等の限定はなくなりました。)
(2)対象業務
事業の運営に関する事項(対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項、及び当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画をいいます。)についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務
(3)決議要件
委員の5分の4以上の多数による合意
(4)労使委員会
労働者代表委員について、改めて事業場の労働者の過半数の信任を得ることとする要件を廃止。
(5)労使委員会の設置届
廃止
(6)定期報告事項
対象労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉を確保する措置についてのみ報告
(7)決議の有効期間
1年以内とする暫定措置を廃止(3年以内とすることが望ましい。)