1 労働者

(法第9条)
労働基準法が適用される労働者とは、事業の種類を問わず、事業または事業所に使用され、賃金を支払われる者をいいます。





2 労働基準法違反の契約

(法第13条)
労働基準法に定める基準に満たない労働条件は無効であり、無効となった部分は、同法に定める基準が適用されます。

(例)
「年次有給休暇は雇入の日から起算して3年目から与える」と就業規則等で規定しても無効となり、労働基準法第39条に基づいて
「年次有給休暇は6ヶ月経過後から与える」に自動的に修正されます。


 

3 労働契約期間の上限


[1] 有期労働契約の上限について(法第14条)

(1)有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、原則として契約期間の上限は3年(改正前は1年)となっています。
(2)また、次に該当する場合には、契約期間の上限を5年とすることが可能です。

(例1)専門的な知識、技術または経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める次の基準に該当する者が、そのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合
(例2)満60歳以上の者が労働契約を締結する場合


[2] 有期労働契約をした労働者からの退職について

 有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります。)を締結した労働者に該当する場合(契約の上限が5年となるもの)を除きます。)は、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
 なお、この措置は、改正法施行後3年を経過した場合において、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの暫定措置とされています。

[3] 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(要旨)
<平成15年厚生労働省告示第357号>
1 契約締結時の明示事項等

(1)使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければなりません。
(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対して、契約を更新する場合の判断の基準(*1)を明示しなければなりません。
※1 判断の基準の例
契約期間満了時の業務の量により判断する
労働者の勤務成績、態度により判断する
労働者の能力により判断する
会社の経営状況により判断する
従事している業務の進捗状況により判断する

(3)使用者は、有期労働契約の締結後に(1)または(2)について変更する場合には、労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければなりません。

2 雇止めの予告

 使用者は、契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約(締結している労働者を1年を超えて継続して雇用している場合に限ります。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。

3 雇止めの理由の明示

 使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由(*2)について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。
 また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。 
※2 雇止め理由の例
前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
担当していた業務が終了・中止したため
事業縮小のため
業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため
など


4 契約期間についての配慮
 使用者は、契約を1回以上更新し、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。


4 労働条件の明示

(法第15条、施行規則第5条)
[1]使用者が労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。
[2]明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
[3][2]の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は旅費等を負担しなければなりません。

◆明示すべき労働条件


必ず明示しなければならない事項
1. 労働契約の期間
2. 就業の場所・従事すべき業務
3. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出・残業等)の有無、休憩時間、休日および労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
4. 賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締め切り・支払いの時期
5. 退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

定めをした場合に必ず明示しなければならない事項
7. 退職手当定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法および支払時期
8. 臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金額に関する事項
9. 労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
10.安全・衛生
11.職業訓練
12.災害補償・業務外の傷病扶助
13.表彰・制裁
14.休職